mosirとは

WordPressテーマ「mosir(モシリ)」はGPLライセンスで公開している、ハイブリッドテーマです。2026年2月7日にバージョン1.0.0をリリースしました。現在、WordPress公式テーマディレクトリへの登録を目指して申請中です。

テーマの特徴

自由、親切、サポート薄め

mosir はGPLライセンスの範囲内で、制限なく無償でご利用いただけます。
ユーザー登録も必要ありません。
機能解説やカスタマイズTIPSも、このサイトで可能な限り公開していきます。

しかし、サポートプログラムを提供する予定はありません。
不具合対応以外の機能を追加する予定もありません。
メンテナンス期間はブロックテーマが完全に普及する、3年程度を予定しています。

詳しくは、後半の「開発意図」もご覧ください。

制作チームへの最適化

制作会社等のウェブ制作チームでは、様々なスキルセットを持つメンバーが、協力しあって業務を行っています。また、顧客とチームが大きくなるほど、サイト運用は長期にわたり、改修や拡張の頻度も増えてゆきます。mosir はそのようなプロジェクトで、経験が異なるメンバー間の情報共有や、円滑な運用を補助できるように開発しました。

特に開発者が住む日本国のウェブ制作の大型プロジェクトに特化しており、同梱のSCSSファイルも日本で多く採用されてきた「FLOCSS」を踏襲しています。

CMSのテーマは優れたフロントエンドエンジニアが開発するケースが多く、コードも最新の技術が反映されます。しかし、mosir は色の単位に oklch() を使用していない、テーマフックを1つも持たない等、構築技術を意図的に下げている箇所があります。また、各ファイルには多数の解説コメントが書かれています。

これらはチーム内での共有、社内教育を目的としています。それは、WordPressに詳しいメンバーだけが大きな負担を背負う「属人化」の抑止を優先したい目的もあります。

カスタマイズ

mosir は必要な要素のみに絞った、拡張性のあるデザインルールを構築しています。文字サイズ・余白・カラーパレットはtheme.jsonで定義され、子テーマで上書きすることで自由に変更可能です。もちろん、すべてブロックエディタのデザインオプションで参照することができます。

設計方針は別記事でご紹介しますが、カスタマイズは「制作の現場で工数が大きくなる機能」に注力しています。特に工数が大きい箇所に、ヘッダのレイアウトがあります。 mosir は日本のグローバル企業のヘッダを調査し、よく使用されているものをできる限り簡単な操作で実装できるように開発しました。

新着の記事リストも工数が大きいものの1つです。WordPressでは記事リストを表示できる「クエリループブロック」が実装されましたが、日本のウェブサイト向けのデザインがない、ループ全体をリンクで囲むことができない等、まだ実務では採用しづらい側面があります。

このため mosir は、デザインに配慮したテーマ専用の投稿リストテンプレートとクエリループブロックの両方を使用できるようにしています。

アクセシビリティ

アクセシビリティは身体の障がいとは関係なく、すべての人に提供されるべきものです。mosir はアクセシビリティについても高い水準を目指しました。mosir では多数のナビゲーションを利用できますが、視力や色覚、操作環境に依存していません。フルキーボードアクセスを提供しています。

インストール段階で14px以下の文字は使用しておらず[1]、プライマリカラーと背景のコントラスト比はAAレートです(4.99)。これらを維持することで、ウェブアクセシビリティ達成基準AAを満たすことも可能です。

コーディングとブロックの分離

mosir はブロックテーマへの移行や、他のシステムへの展開を想定しているテーマです。テーマのレイアウト部分(ヘッダ、フッタ)ではWordPressの変数を直接参照せず、いつでも容易に切り離せるように設計しています。CMSはシステムとコンテンツは切り離して管理されるのが理想で、mosir もその理想に従っています。

開発意図

なぜ、ハイブリッドテーマなのか

現在WordPressは、フルサイト編集(FSE)を前提とした「ブロックテーマ」に大きく舵を切っています。優れた開発者が集まる日本のWordPressコミュニティも、ブロックテーマの学習と啓蒙を盛んに行っています。その一方で、多くの制作現場では未だにクラシックテーマやテンプレートへのHTML直書きから脱却できていないまま、WordPressを使用しています。

このまま技術格差が進むと、以下の不安があります。

  • ブロックテーマへの移行(または他のCMSへのへの乗り換え)に莫大なコストが発生する
  • 若年層のクラシックテーマの構築スキルが低下し、ベテラン制作者の負担が大きくなる「属人化」が発生する

既にそのような問題に直面している開発者=私は、WordPressを使い続けたい方にも、その他の選択をしたい方にも、「ハイブリッドテーマ」という形で中間のステップを提供したいと考えました。開発者自身も、次の段階への移行を今から考えています。

なぜ、公式テーマなのか

公式テーマは登録条件がひじょうに厳しく、開発者への負担も大きいです。しかしテーマディレクトリに登録されると、利用する側のメンテナンスコストが大きく下がり、リリース元の情報を確認しなくても更新状況を知ることができます。また、自動更新が可能になります。これは前の項で書いた目的を達成するために必要と考えています。

その代わり、WordPressで提供している機能には対応しなければなりません。不正アクセスの要因となりうるXML-RPCやコメントについても同様です。公式テーマは利用する側のリテラシーも試されています。

また、現実的な話になりますが、日本人の小規模事業者は「月額・年額契約が発生すること」を嫌がる傾向があります。それにより、もっと良いテーマがあるのに無理にフルスクラッチテーマにせざるを得ない事案もあります。このため、mosir をGPLライセンスのもとで自由に使っていただけるようにしたいと考えています。

利益と他の国産テーマとの関係

はっきり言って、mosir プロジェクトから得られる金銭的な利益は、とても少ないことを予想しています。今後有償の関連パッケージを販売予定ですが、それを加味しても、です。

しかし、テーマの開発は実際に開発をした者だけが得られる大きな学習資産があります。また、このテーマによってスキルアップの機会を得られる方や、これからのWordPressに興味を持ってくれる方も現れるでしょう。開発者はそれを願っています。

日本人が開発したテーマは公式・非公式とも素晴らしいものが多数あります。mosir が「タダでバンバンパクれるテーマ」と誤解されてしまうと、他の素晴らしいテーマ制作者の不利益になりかねません[2]。そのため、このページを作りました。

mosir は業界全体のスキルアップを第一の目的としたテーマです。高い機能や手厚いサポートを希望される場合は、ぜひ他のテーマも検討ください。

開発者について

開発者は愛知県豊橋市のウェブ制作者、口田(くちだ)と申します。個人事業の屋号は「WebbingStudio(ウェビングスタジオ)」ハンドルネームは「うぇびん」です。WordPressは2007年頃から利用しています。おそらくバージョン 2.3(Dexter)あたりだと思います。

本業は日本国内のIT企業に所属し、Movable Type、WordPress、自社プロダクトのテンプレート作成や保守、後進の指導を行っています。

愛知県豊橋市のウェブ制作者 – ウェビングスタジオ(WebbingStudio)

テーマ名の由来

このような長文を読んでくださってありがとうございます。最後に、このテーマの名前の由来について。

テーマ名の「mosir」は開発者の生まれ故郷である日本国の北海道地方の民、アイヌの言葉「モシㇼ」が由来です。世界、大地、国土という意味があります。

開発者は北海道を遠く離れましたが、大地は常にともにあります。次のステップをめざす制作者を「大地」のようにささえたい。そんな願いを込めました。

メインビジュアルの写真は、北海道のイワオヌプリという山から眺めたニセコ連山(ワイスホルンと呼ばれる)です。この写真は mosir のテーマパッケージに含まれており、GPLライセンスの規定する範囲で自由に利用いただけます。

撮影者は登山を愛する開発者の姉です。この素晴らしい写真を提供してくれた彼女に感謝します。

mosir – Wiktionary, the free dictionary


[1]: 選択できる文字サイズは、最小が約12pxになるサイズも用意しています

[2]: これを読んでいる多くの方はご存知かと思いますが、GPLは記載されている著作権表記を外すことはできません。つまりテーマの大半を丸パクして自分が作ったとサロン等で喧伝することはライセンス違反であり、非難の対象になります